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PROJECTプロジェクト紹介

RYOBI-校支援編

1983年入社

SE

T.N.

T.N.

プロローグ

「今回は残念ながら他社に決めさせていただきました」。T.N.はその言葉に耳を疑った。受注は確実だと思われていた案件で、それを見込んで、すでに億単位の投資を行っていた。「辞表を書く寸前だった」その時の心境をT.N.はそう振り返る。うちひしがれながらもT.N.率いる文教チームは、なんとか光明を見出すべく、打開策を模索した。あきらめたら終わりだと。

「ここまで他社には絶対にできない」と、勝利を確信したはずだった

万全の状態で挑んだ提案。
しかし、事態は一転。

ハードやソフトウェアの導入・開発・保守を展開し、地元を中心に1,000社を数えるお客様を持つ。こうしたビジネスの一つに、文教ソリューションがあり、地元の高等学校7校への学籍管理システムの開発・導入実績があった。地元トップシェアということもあり、地元の行政機関より、「県下55校の学籍管理システムを統一したい」という要望が寄せられた。

そんな打診を受け、商談を進める中でT.N.は、「トップシェアという立場的にアドバンテージがあるが、さらに受注の確度を高めたい」という想い、そして、「翌年度から導入したい」という、お客様が求める短納期のスケジュールに沿うべく、提案時にはシステムが動く状態で臨むことにした。

技術的には、1万ユーザが利用するシステムということもあり、Linux サーバの Web アプリを採用。その際、日本発のプログラミング言語「Ruby」の聖地である島根県の支援を仰げることになり、その Ruby on Rails に加え、ノウハウのあるメーカのミドルウェアで帳票を出すという構成とした。

さらに、お客様と打ち合わせを重ねる中で、それぞれ違う55校の帳票もあらかじめ調整し、非常に高い評価を受けた。T.N.は「スケジュールを考えると、ここまで他社には絶対にできない」と、勝利を確信していった。

予定通り最終プロポーザル3社に残った。T.N.率いる文教チームはそこで油断せず、さらなる開発を進め、完成度を高めていった。「万全を期す」。システムは7割ほど完成していた。

ところが、事態は一転する。それが冒頭のシーンだ。敗因は見当たらなかった。唯一あるとすれば、お客様の導入スケジュールの一年後ろ倒しという、前提が覆ってしまったこと。T.N.の目の前が音を立てて崩れるようだった。

朝から晩、晴れ・曇り・雨と、あらゆるシナリオを試しました

ターゲットシフトで甦る「RYOBI-校支援」

「地元で、地元のトップシェアの我々が負けた、これは非常事態。気持ちを切り替えて、全国に売り込むという手も考えたが、都道府県はマックスで47。攻めるには、市場が小さすぎるんです」追い込まれたT.N.の決断は「撤退」だった。

T.N.の目の前には、7割方完成したシステムがあった。「私たちに残されたのはこれだけ。この資産をなんとか活かせないだろうか」。藁にもすがる想いで頭をひねった。そして、一つの道が見えてきた。

「ターゲットを高校から小中学校へシフトすることにしたんです。小中学校は市町村単位の管轄なので、市場は1,300~1,700単位に広がります。これしか道はない、そんな想いでした」。T.N.率いる文教チームは、そんな方向転換を決意し、日の目を見なかったシステムに再び命を吹き込むことに舵を切った。ここに、「RYOBI-校支援」が不死鳥のように産声を上げたわけだ。

「RYOBI-校支援」は数年後、間違いなく両備システムイノベーションズの柱になる

攻めの姿勢が生んだ良いスパイラル

「そこからはもうがむしゃらでした」T.N.は振り返る。そんな不屈の精神が思わぬチャンスを生む。ひょんなことから関東のK市教育委員会とのコネクションができ、何度も何度も足を運ぶうちに信頼を得ていったのだ。駆け込みでなんとか入札に参加できることになったT.N.は、ここで大胆な戦略に出る。

それは「赤字覚悟で攻める」。さらなる損失を生み出すリスクがあった諸刃の剣とも言えるが、それだけT.N.率いる文教チームは「RYOBI-校支援」に賭けていた。結果は受注。「蓋を開けてみれば、僅差だったと聞きます」T.N.は賭けに勝ったことになる。

その投資は無駄ではなかった。2011年8月、K市への導入が成功し、新聞をはじめとしたメディアにも取り上げられた。「営業すれば必ず導入実績を聞かれます。その時、胸を張って『K市教育委員会です』と答えられるわけです」。それが呼び水となり、引き合いが止まらない。立ち上げ3年で10市町村への導入を成功させるまでになった。組織的にも、製販一体体制の事業部へ繰り上げられ、今も次々と商談が舞い込んでいる。

「『RYOBI-校支援』には校務支援に求められるものすべてが入っています。トップシェアの他社製品に比べても遜色はまったくありませんから、数年後には間違いなく事業の柱になっていくはずです。2016年4月には中部地方のJ市教育委員会から受注したのですが、それに伴い営業所を開設しました。こんな風に、全国各地の拠点を中心に、近隣から話が舞い込んできてくる、そんな良いスパイラルが生まれているんです」。辞表を書いて楽になることもできた。しかしそれを許さなかったT.N.のプライド。逆境を跳ね返した挑戦が今、全国の教育現場を席巻しようとしている。

メッセージ

私から皆様へ伝えたい言葉は、「継続は力なり」。どんな仕事にも言えることですが、特にITはスパンが長く、また、奥が深いものですから、2~3年やったくらいではわかったとは言えないですし、何よりとてももったいないことです。辛いときがあったとして、一時の感情であきらめるのではなく、まず「続けてみよう」と歩みを進めたうえで、どうしたら問題が解決できるかを考える、それがプロ社会人の基本だと思います。

T.N.

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