プロジェクト紹介

健康管理システム(TSMS) 編

No. 003

株式会社リョービシステムサービス
健康管理システム(TSMS)

プロフィール

永泉 貴行

1998年入社

永泉 貴行

開発株式会社リョービシステムサービス ソフトウェア部 次長

熊澤 宣和

2003年入社

熊澤 宣和

開発株式会社リョービシステムサービス ソフトウェア部 第2システム課 係長

社会的な労働課題を解決する「TSMS」プロジェクト

2013年6月、閣議決定された「日本再興戦略」に、「健康寿命の延伸」が掲げられている。社会的な労働環境をとりまく課題は、労働人口の減少や、精神障害を含む労災認定件数の上昇など、枚挙に暇がない中、国が重い腰を上げたかたちだ。

生活習慣病の抑制、医療費の抑制が社会的ミッションとなりつつある現在、各保険者は、「レセプト(※)」をはじめとしたデータを加入者の健康づくりに活かす「データヘルス計画」への取り組みを掲げている。具体的には、健康診断・人間ドックといった健診データに、時間外勤務状況などをかけ合わせ、リスク対象者を推測し、指導する材料としていく。個人が健康に働き続けられるようフォローアップしていくしくみが求められている。これに対するリョービシステムサービスからの回答が、健康管理支援システム「TSMS(Total Staff Management System)」だ。

両備システムズには、自治体の住民向けに地域健康支援システム「健康かるて」というパッケージがあり、すでに導入先は500団体を突破している。時は2002年に遡る。その「健康かるて」を導入済みの自治体から、「自分のところの職員の管理もできないか」という打診をいただいた。そこで、「健康かるて」にアドオンするかたちで、職員の健診データを管理する機能が付加されることになった。

そんな経緯で顕在化した自治体職員向けニーズを横展開し、民間企業にも展開していこうというのが、「TSMS」プロジェクトの始まりだった。

※患者が受けた診療について、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合 等)に請求する医療報酬の明細書で、診療や処方した薬の費用が記載されている。

専業特化で数多くのニーズが形になっていく

「『健康かるて』本体を民間で使えるよう、さらに機能をアドオンしていくという選択肢もありましたが、兄弟システムとして別の道を歩ませるという戦略を採用しました。というのも、両備システムズグループの戦略は『専業特化』。いたずらにシステム自体や営業体制を複雑化させずに、『自治体職員・民間企業従業員向けに取捨選択しよう』という考えを徹底したかたち」と、「TSMS」黎明期から開発を担当する熊澤は語る。

熊澤はそれまで「健康かるて」の開発および導入を担当し、システムを熟知していること、自治体職員や民間企業従業員向けニーズを把握していることから、このプロジェクトの担当として白羽の矢が立てられた。2013年、プロジェクトマネジャーである永泉とともに企画をスタートさせた。チャネル、ターゲットなど、事業戦略を組み立てながら、業務の合間を縫って、二か月ほどかけて企画書を仕上げ、承認を取り付けた。

民間企業・大学などへの展開で
市場は10倍、100倍に広がる

永泉 貴行・熊澤 宣和

「2008年4月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善を目的とする『特定健康診断・特定保健指導』が始まっています。企業もメタボ対策への取り組みを積極化していく中、必ずチャンスはあると思ったんです」そんな永泉の読み通り、民間企業はもちろん、地元岡山の大学ともタブレットを用いた健診システムを実験する中で、「想像以上のニーズが感じられた」という。自治体職員向けだけでは1,700団体にとどまる市場規模も、民間企業・大学などへの展開で「市場は10倍、いや100倍に広がる」と見ている。

「開発はとても順調に進みました。『健康かるて』のベースを活かしつつ、職員・社員向け機能を作り込んでいくことができたこと、システムを熟知しているメンバーが多かったことが幸いしました」と熊澤が振り返るように、「TSMS」は翌年2014年6月には一通りの完成を見せる。

リスクをとったからこそ勝ち得たお客様の信頼。

さっそく永泉が「TSMS」を担いで、「健康かるて」の既存ユーザ、そして新規潜在顧客を回り始める。「民間企業も必要性を感じているようで、とても興味を持って聞いてくれました」と良い感触を得る。そんな商談の中で、全国各地に店舗を持つ企業から、「従業員一人ひとりに健康意識を持って欲しいので、健診結果をいつでもどこでも確認できるようにしたい。そのうえで配布物は削減したい、かつ、全従業員がPCを持っているわけではないので、スマートフォンで閲覧できるようにしたい」という声が上がった。

そんなスマートフォン対応のニーズを知った熊澤は、セキュリティやプライバシー面のリスクを考慮して慎重な永泉に、「大丈夫。作ります」と進言。その気迫におされ、思わず頷いた永泉だったが、熊澤は「つきましては……他の事業部の人間を一瞬戻してもいいですか?」と打診する。「やると決まったらやるしかないので、なんとか調整をかけました」と永泉は笑う。「熊澤さんががんばってまとめてくれたので、良いものができた」と太鼓判だ。

決め手は、機能面、価格面での強み。
Win-Winの関係を築けるTSMSシステム

永泉 貴行・熊澤 宣和

その甲斐あって、民間2社、「健康かるて」からのリプレイス2自治体と、あっという間に導入実績が積み重なっていく。

「決め手は、機能面でも価格面でも強みがあったことでしょう。競合のどのシステムよりも、データ連携がスムーズ。しかも、ほとんどノンカスタマイズ、設定のみで対応できる汎用性があるんです。99%カバーしていると言っても良い。その分うちは導入が楽だし、お客様も追加費用を払わなくて済む、Win-Win なんです」と、永泉は分析する。

「やはり、スマートフォン対応がとても好評で、民間企業、既存自治体からの引き合いが次々に来ています。さらには民間企業の健康管理をしている機関へのアプローチも進んでおり、利用者が一気に広がっていくんじゃないかと、嬉しい悲鳴を上げています(笑)」と、熊澤もヴァージョンアップ開発に追われる日々だという。

「私自身、管理職なので、社員の健康管理の大切さは痛感しています。要は社員が健康で働き続けられるような会社こそが生き残っていくんだと思います。」と、永泉は「TSMS」の社会的意義を理解している。

地域の健康を底上げする「健康かるて」の DNA を引き継いだ「TSMS」は、「働く」という人生の大部分を占める時間を充実させていく使命を負っている。まだ小さな芽吹きには違いないが、「健康を身近に考える」機会をたしかに創出し、あらゆる職場の笑顔を増やしていくに違いない。

メッセージ

メッセージ

永泉 貴行

学生時代にしかできないこと、たとえば、学業でも、サークルでも、アルバイトでも、十分にやりきってから社会人になってください。いろいろな「やりきった経験」が自分を構成していきますから。

あとは、IT業界を目指すなら、SE志望の方も、開発志望の方も、世の中で情報処理がどのように活かされているのか、じっくりイメージしてみるとよいかもしれません。逆に言えば、今やシステムが使われていないところのほうが少ないわけですから、日常生活にどのようにシステムが関わっているか、たとえば、コンビニをはじめとした POS レジや、通学途で使う電車やバスの電光掲示板など、身近なところから自分のやりたいことを見出していくと良いと思います。

特に 両備システムサービスは、アウトソーシングという領域で、いろいろなものごとと絡んでいきますから、そういう想像力や好奇心が業務をこなすうえで大きな武器になっていくでしょう。

――永泉 貴行

熊澤 宣和

大学って文系理系と分かれているじゃないですか。でもその枠にとらわれすぎて、仕事をはじめとしたやりたいことを制限しちゃうのはもったいないと思います。文系でも営業だけじゃなく SE になれるし、第一線で活躍することもできます。それに、誰もやったことのない新しいことにチャレンジする時は、誰もが初心者横一線のスタートなんです。もしも負い目があるなら、なおさら新しいものづくりをしましょう。

永泉さんの言うように、いろいろなものごとへの興味・好奇心が、いつか新しいチャレンジにおける自分だけの付加価値になっていくはずです。

――熊澤 宣和