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PROJECTプロジェクト紹介

自治体職員専用SNS
「zichinowa」編

1997年入社

営業

H.T.

H.T.

2003年入社

SE

T.O.

T.O.

フリーミアムが自治体の
コミュニケーションを変える

「フリーミアム」というビジネスモデルをご存じだろうか。基本的なサービスを無償で提供し、さらに高度な機能・特別な機能で稼ぐしくみのことだ。ソーシャルゲームやWebサービスの世界ではすでに普及し、多くの成功例が出ているが、基幹システム、それも自治体向けというフィールドでそのビジネスモデル構築に挑戦しているプロジェクトがある。それが「zichinowa(じちのわ)」だ。

発端は、SNSが普及しはじめた10年以上前に遡る。自治体内のグループウェアはあっても、自治体同士の連携が弱いという課題がある。ソーシャルネットワークのしくみを使うことで、自治体横断のプロジェクトを進めたり、日々の情報共有をしたりできるのではないか、という企画だ。

そのずっと温めていた企画を、内部情報システム「公開羅針盤+C」チームの若手が中心となり、改めて開発を進めることが決定したのが2011年のこと。その際、広くアイディアを募るということで、別チームから呼ばれたのが、T.O.の「zichinowa」プロジェクトとの出会いだった。

両備システムズグループにしか成しえない、
新しい価値づくり

「もともと住民情報システムの住民票・税務領域の開発を12年ほど担当していたのですが、企画・ビジネスモデル構築の部分から手伝って欲しいということで参加していったかたちです。グループウェアの自治体市場において、五本の指に入るシェアを誇る「公開羅針盤+C」をさらなる付加価値のあるサービスとするのが第一の目的でしたが、さらなる大きな目的、ビジネスモデルを生み出していくことにしたのです」とT.O.は振り返る。

一言で言えば、「zichinowa」は 総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)「エルジーワン」 という総合行政ネットワーク上で動く SNS である。インターネット上の SNS と違い、自治体専用回線であるから、極めてセキュアに、かつ、高速に自治体間連携が実現できるわけだ。一方、「なぜこのアイディアを他社は企画できなかったのか」という疑問も浮かぶ。

「LGWANを使うには、地方公共団体情報システム機構「J-LIS」(ジェイリス 総務省の外郭団体)の厳しい審査があり、さらに、通るまでにも時間がかかるんです。この時点で、実績とノウハウがない会社には真似できません。その点、両備システムズは、自治体向けに強みがあり、そのLGWANのノウハウをどこよりも持っていたことで、審査をクリアしていけたのは強かったです。さらに、2013年に両備システムズ自前のデータセンター『Ryobi-IDC』も完成し、万全の体勢になったと言えるでしょう。」

つまり、他の会社も考えながらできていなかったことを実現し、五本の指に入るシェアを誇るグループウェアとユーザがそのまま、「zichinowa」ユーザになり得る、というのはアドバンテージと言えよう。

異端と思われたプロジェクト。確信を持って練り上げた結果、ゴーサインを出してくれた

「どんどんお客様がつながっていけば、新たな価値を作っていけるのではないか。そうすれば、地方、そして日本はもっと活性化していくんじゃないかという想いは大きかったんです。それを推進していくには使ってもらわなくてはならない。じゃあ、どうしよう、という時に、ちょうどフリーミアムというビジネスモデルが浮上してきたのです。」

前述したように、基幹システム、それも自治体向けというフィールドにおける「フリーミアム」というのは、前代未聞だ。いくら社会インフラとなるような公共的なプロジェクトを多く手がけてきた両備システムズだといっても、慈善事業をやっているわけではないのだから、到底首を縦に振るわけにはいかないだろう。

「zichinowa」完成後、営業を担当したH.T.は、「実際に提案を始めてからもお客様に『両備システムズさんはどこで儲けるの?』と何度も尋ねられるくらい。それはそうですよ。これまで20年ほど公共系システムの営業を担当してきた私からしてもフリーミアムなんて異常事態でしたから」と笑う。

しかし、プロジェクトメンバーたちには勝算があった。フリーミアムという劇薬に慎重な姿勢を見せていた役員たちも、若手中心となって練り上げられたそのチャレンジが、いつかイノベーションとして結実すると確信し、ゴーサインを出したのだった。

「zichinowa」の真の狙いはPaaS。全国の自治体の業務を劇的に改善しうる

「zichinowa」の「輪」が広がる

果たして、「zichinowa」のビジネスモデルの秘密とはなんなのだろうか。それは、フリーミアムでよくある、ユーザ数制限や、使用時間制限を超えた分で従量課金し、回収するというものではない。「zichinowa」のSNS機能は制限なく、すべて無料なのである。そろそろ解答編としよう。そのキーワードは、「PaaS(Platform as a Service)」。実は、SNSは「zichinowa」の一部に過ぎないのだ。そう、「zichinowa」は、言わば LGWAN 上のプラットフォームであり、SNS機能はそのモデルソフトウェアとしてのフリーミアムなのである。

「自治体の中には、職員の皆様が Microsoft Excel や Access などで独自に開発している EUC(End User Computing)がたくさんあります。それらを「zichinowa」上で基盤化することは、実はすごい恩恵があるんです」とT.O.は語る。極端な例になるが、ある EUC をシステム化するのに、1,500万円開発費がかかるとする。それを一自治体で負担するのは容易ではないが、仮に「zichinowa」に全自治体(1,700団体)が参加しているとすれば、「zichinowa」上で共同利用し、「ワリカン」できる。そう、一自治体あたり1万円弱の負担で業務が大きく改善するわけだ。

その戦略は当たった。さっそく県庁に、フリーミアムであるSNS機能、そして、営業支援オプションを導入。後に、県庁の担当者は、「zichinowa」の導入およびその事務改善の効果の業績により、知事から表彰されたという。さらに、役所をはじめとした10箇所の自治体にSNS機能を導入。2015年には、米国大手IT企業とのアライアンスにより、CRM アプリケーションサービス及びプラットフォームの連携基盤を構築するなど、「zichinowa」の「輪」は着実に日本全国へ広がっていこうとしている。

メッセージ

このプロジェクトストーリーが示すように、両備システムズグループは、新しいことに挑戦させてくれる風土があります。これまで「住民情報システム」という伝統あるシステムを手がけてきた私が、自ら手を挙げ、「まだ世の中にないものを作りたい」という想いで「zichinowa」に関わらせてもらったわけですから。

米国大手IT企業だけでなく、他の企業やエコシステムとの連携の可能性はまだまだあります。そう、アイディアさえあれば、「zichinowa」は、全国の自治体とともに、まちづくり・地域活性にいくらでも貢献できる可能性を秘めているのです。そんな想いを持った方とともに働ける日を心待ちにしています。

T.O.

この若手中心となって常識を覆した「zichinowa」のように、これからも若い方とともに、新しいビジネスモデルを作っていきたいと思っています。IT業界は常に新たな発想が必要ですから、学生の皆さんにはそんな発想、そして理想を持ってきて欲しいんです。私たちはそれを全力サポートしますし、私は必ずそれを全国に売ってきますから。

H.T.

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