両備システムズのこどものデータを活用する連携プラットフォームが、 埼玉県美里町と川島町の実証事業に採用

潜在的に支援が必要なこどもや家庭を早期に発見

美里町(埼玉県児玉郡美里町、町長 原田信次、以下美里町)、川島町(埼玉県比企郡川島町、町長 飯島和夫、以下川島町)は、2023年4月、「こども家庭庁」の開設に伴い、こどものデータを活用する連携プラットフォームを使用した実証事業(以下、当事業)を2023年6月より開始いたしました。
株式会社両備システムズ(岡山県岡山市、代表取締役社長 松田敏之、以下 両備システムズ)は、自治体内の関係部署、医療機関、子育て関連施設などの情報を連携し、潜在的に支援が必要な家庭やこどもを早期発見し、自治体など関係機関よるプッシュ型の支援へつなげる仕組みとして「こどもに関する連携プラットフォーム『こどもの杜』」を開発しました。実証事業を通して支援すべき対象の抽出、見える化するための情報連携ツールとして使用します。
市町村への導入実績約700団体の健康管理システムで蓄積した知見を活かし、今回の実証事業では、「虐待」の他、「産後うつ」「発達障がい」等の支援が必要なこどもや家庭の早期発見につながる情報を可視化します。
当事業は、地方自治体がこどもに関するデータ連携に取り組むためのガイドライン作りを目的としており、こども家庭庁が実施する令和5年度「こどもデータ連携実証事業」(※1)9件の一つとして実施されるものです。令和4年度実証事業と合わせ、自治体クラウド(※2)の利用形態である共同利用で行う事業は初となります。

潜在的に支援が必要なこどもや家庭を早期に発見

背景

2022年6月に成立した改正児童福祉法で、地方自治体では、虐待対策など児童福祉を目的として設置されている「子ども家庭総合支援拠点」、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供する目的として設置されている「子育て世代包括支援センター」の役割を維持したうえで、組織を見直し、全ての妊産婦、子育て世代、こどもへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関として、2024年度以降「こども家庭センター」の設置を各市町村に設置する事が努力義務として定められました。

美里町では、2020年9月11日に0歳3か月の女児が亡くなるという重大事件が発生しました。虐待のリスクについて、客観的事実に基づいた判断がなされるよう関係機関と協力し、転入前の情報収集や介入の判断、情報共有など、二度と起こらないよう再発防止に徹底して取り組んでおり、美里町要保護児童対策地域協議会が中心となり、関係者における情報共有システムの構築に取り組んでいます。
また、美里町・川島町は、埼玉県内 20 町村で構成する「埼玉県町村情報システム共同化推進協議会」に参加しており、平成24(2012)年度より積極的に自治体クラウド導入に取り組んできました。2022年10月にはデジタル庁「ガバメントクラウド先行事業」で、ガバメントクラウド上に共同で基幹業務システムを稼働しています。

データ連携による早期発見の仕組み

支援を必要とするこども、家庭を抽出するために連携し、情報分析を行うことが必要と想定しているデータは以下になります。管理する部門がそれぞれ異なっているデータを連携し、組み合わせを変えて分析することで潜在的なリスクを可視化、支援を必要としているこどもや家庭を早期に発見できる仕組みを構築します。

実証事業で連携するデータ

事業概要

実施期間

2023年6月~2024年3月

目的

・    システム面
① スケールメリットによるシステム調達・運用費用の削減
② クラウド技術・環境の導入による災害対策等の充実
③ システム費用削減及び広域連携強化を通じた住民サービスの向上
④ 情報システム担当等の職員の負担軽減と情報システムに関する知見の向上


・    業務面
① こども、家庭の自治体をまたいだ異動におけるデータの引き継ぎ、連携の検証
② データ分析の対象母数を拡大することによる、幅広いリスクの洗い出し
③ 自治体ごとのデータ管理方法の差異を検証し、最適な入力方法の検討
   例)学校職員による児童観察結果の入力ルールの統一
   例)学校職員から教育委員会への特別支援児童への対応状況報告頻度
④ 目的が同じ自治体において、同じシステムで実証する事による「虐待」「産後うつ」「発達障がい」に関するリスク条件のキーワード等に対する把握タイミングや客観的なリスク抽出手法の確立を行い、集約した情報の重要度・抽出タイミングの検証を実施

実施体制

・    統括管理主体、データ保有・管理主体、活用主体…美里町、川島町
・    支援組織(地方公共団体以外) …群馬大学
・    データ分析主体 …両備システムズ

今後の展開

複数自治体での実証結果をもとに、将来的に「埼玉県町村情報システム共同化推進協議会」(美里町及び川島町含め21町村)に参画している自治体への展開を見据え、データの他町村への引継ぎ、アクセス権の設定については、改めて課題を整理し、対応策の検討を行います。

事業への町長の想い

埼玉県美里町 町長 原田 信次 様

令和2年に美里町内で児童虐待の死亡事案がありました。この件は要保護児童対策協議会の対象案件でしたが防ぐことができませんでした。その検証をする中で、警察に連携していたにもかかわらず、亡くなってしまったということについて、美里町としては、児童相談所が動かなくても役場は躊躇なく介入するという判断を独自にするしかないと結論を出しました。そのために、行政が持つ相談記録などの情報をもとに、必要な時には迅速に介入の判断を支えるシステムがあればと思っていました。今回のこどもデータ連携実証事業には新たな可能性を感じています。
 また、発達障がいで支援を必要とするケースが増えています。今回、両備システムズの提案をいただいて、母親の妊娠期、出生後から一生を通じたデータを管理・分析することで、新たな気づきを得ることができることを知り、またその気づきを専門職につなぐことで、早期発見、適時に適切な支援につなげられるのではと期待しています。

埼玉県川島町 町長 飯島 和夫 様

川島町の子育て応援プランとして、「子どもの未来を地域で支えるまちづくり」を基本理念としてまいりましたが、新型コロナウィルス感染症の影響で生活困窮世帯が増加し、子育て支援が子どもの日々の食事や、学校給食の議論まで波及するような事態が起きました。
これからは、保育園や幼稚園、役場の福祉部門、教育部門、それぞれが単独で支援するのではなく、何とかまとめて総合的に支援をしなければならないのですが、様々な情報は縦割りで管理されています。
もっと横軸が必要ということで、今年度から子ども未来推進室を立ち上げ、総合的に横糸を束ねる中核を作って取組を始めようとしています。その中で両備システムズのデータ連携プラットフォーム「こどもの杜」のアイディアをお聞きし、まさにそのとおりだと思いました。いち早く、一人ひとりの子どもの状況を把握して、早期対応をすることが重要と考え、原田町長とも話してぜひ参画しようとなりました。この実証事業をたたき台にして、意見交換しながら良いものを作り上げていきたい、そして早く現場で対応したいという思いでいます。

こどもの杜について

公共部門、医療部門、教育部門など、両備システムズにおける子育て関連のノウハウを集約させた、子育て関連データ連携プラットフォームです。自治体、医療機関、保育園・幼稚園、学校、児童相談所、その他子育て関連施設より必要な情報を集約させ、フォローが必要な家庭・こどもを早期発見し、プッシュ型の支援を実施できるようなサービスを実現します。

「こどもの杜」製品ページ
<https://service.ryobi.co.jp/public_solution/kodomonomori/>
 

こどもの杜イメージ図

注釈

(※1)こども家庭庁「こどもデータ連携実証事業」

本事業は、デジタル庁実証事業等を踏まえ、地方公共団体がデータ連携に取り組むためのガイドライン策定に向け、「① 困難の類型(虐待・貧困・不登校・いじめ・ヤングケアラー等)に応じて、潜在的に支援が必要なこどもや家庭を早期に発見するために連携が必要なデータ項目を整理し、困難の類型との関連性及び連携方法を明らかする」等、計5点について、検証することを目的としています。
引用元:こども家庭庁 こどもデータ連携実証団体(令和5年度実証開始団体)公募要領
<https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/def05ac0-e474-42a1-8177-0fdee9171f3f/fd97ab9a/20230127_procurement_koubo_dataconnection_youryou_01.pdf>


令和4年度実施団体(デジタル庁実証事業からの継続)
・    埼玉県戸田市
・    東京都昭島市
・    兵庫県尼崎市
・    広島県・府中町
・    福岡県福岡市
令和5年度実施団体
・    福島県会津美里町
・    埼玉県美里町・川島町
・    千葉県印西市
・    神奈川県横須賀市
・    神奈川県開成町
・    新潟県佐渡市
・    岐阜県山県市
・    大阪府和泉市
・    宮崎県延岡市
引用元:こども家庭庁 こどもデータ連携 実証事業採択団体
<https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-data/>
 

(※2)自治体クラウドにおける共同利用について

クラウドを電子自治体の基盤に利用して、2団体以上の自治体が共同でシステム運用をしている状態を自治体クラウドと言い、共同利用は、自治体クラウドの利用形態を言います。
令和3(2021)年3月時点で713団体(市町村数全体1,724団体のうち)が共同利用による自治体クラウドを導入しています。
引用元: 総務省「クラウド導入状況(令和3年4月現在)」
<https://www.soumu.go.jp/main_content/000855084.pdf>

美里町と川島町の人口・面積

美里町
人口:10,849人 (令和5年6月1日現在)
面積:33.41k㎡

川島町
人口:19,052人 (令和5年6月1日現在)
面積:41.63k㎡

このページに関するお問い合わせ

株式会社両備システムズ 広報部
電話:086-264-1311