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PROJECTプロジェクト紹介

IoT・AI事業推進室編

1992年入社

SE

A.T.

A.T.

2015年入社

SE

Y.K.

Y.K.

2017年入社

SE

M.T.

M.T.

プロローグ

新聞やテレビで目にしない日はないくらい、身近な言葉となった「IoT・AI」。もちろん、両備システムズグループ各社でも、そのはるか以前からそれぞれ研究を進めていた。そんな中、グループ長は、「グループが7社バラバラ動いて知見を点在化させてしまうよりも、横串を刺して集中しよう」と決断を下す。こうして 2016年8月、「IoT・AI事業推進室」の設立が発表された。

その旗振り役として、白羽の矢が立てられたのは、1992年入社のA.T.であった。ちょうどA.T.は両備システムズのソフトウエア事業部にて2014年、新ビジネスとしてセキュリティ製品「RS遮断」を完成させたところ。その後を後進に任せ、技術者なら誰もが胸躍るこの「IoT・AI」に挑むことに。これが10人という少数精鋭で動き出した「IoT・AI事業推進室」のプロローグであった。

 

「IoT・AI」でも「専業特化」

「新しい組織である『IoT・AI事業推進室』では、従然から様々な研究開発をしていましたが、新たにAI・IoTの視点で知見を広げることからスタートしました。しかし、その後一定期間を経て成果発表してみると、みんなの興味が散らばり過ぎて中身が薄くなってしまうことが危惧されました。そこで、『画像処理』『音声処理』『自然言語処理』『分析予測』の4つの領域に絞り、それぞれに割り振るという、『肩書き制』を採用することにしました」と、A.T.はその立ち上げ期を振り返る。そう、両備システムズグループの経営戦略である「専業特化」のように、「選択と集中」を行ったわけだ。これが効を奏し、広く浅くではなく、深く、そして、スムーズにチームは離陸したという。

そのうち「音声」を担当するY.K.は、2015年に新卒入社し、自治体向けの住民情報システムや税務情報システムの開発・テストを担当していた。「『IoT・AI』に限らず、新しい技術って、どんなエンジニアにとっても必須事項だと思うんです。それで新人時代から、『IoT・AI』はもちろん、FinTechなども勉強していました。ですから、この部署にアサインされた時は、その興味を思う存分ぶつけられるということでやりがいを感じました」と当時を語る。

「自然言語処理」を担当するM.T.は、大学時代から製造系のシステム生産ラインの最適化に携わり、2017年に新卒入社。製造系のシステムに携わり、設計・プログラミング、テストをこなした後のアサインであった。

朝から晩、晴れ・曇り・雨と、あらゆるシナリオを試しました

「IoT・AI」で「安全運転支援」

それぞれの想いで集うメンバーの成果が少しずつ花開き始める最中、最初のチャレンジがチームに舞い込んできた。それは、バス会社からの「社会的問題となっている『スマホながら運転』を IoT・AI で解決できないか」という相談だった。

それまでは、すべてのドライバーの8時間にも及ぶ勤務中の運転を録画して、人間が目視で「スマホながら運転」をしていないかチェックするしかなかった。その映像を AI で自動分析する、そんなソリューションのリクエストだ。まさに絞り込んだ領域の「画像処理」の分野。培ってきた知見の見せどころであると同時に、チームの威信をかけた初の晴れ舞台でもあった。

A.T.は、「AIに与える教師データを作るために、私たちも交代交代、実際にドライバーのような演技をしてバスに乗り込み、たとえば朝から晩、晴れ・曇り・雨と、あらゆるシナリオを試しました」と語る。

さらに、初期導入後も2週間かけて、実データを分析・評価して、検知率を上げるための仕上げを徹底的に行った。その結果、最終的にはドライバー1人当たり8時間の勤務データを、「グレー(疑わしい)」瞬間を集めた10分ほどに集約することに成功。人間による目視チェック工数が、実に50分の1(98%圧縮)になったわけだ。

こうして、一つの成功を皮切りに、この技術を応用して、同じ公共交通機関におけるドライバーの「身だしなみ」や「挨拶」チェックなどのソリューションまで発展していくことになる。

両備システムズグループならではの公共系地元岡山にとどまらない全国の研究機関との連携

「IoT・AI」は、全国から、そして、全国へ

「IoT・AI事業推進室」の進撃はとどまらない。その後もメンバーはそれぞれの担当領域の可能性を広げるべく、両備システムズグループ内、各事業部にヒアリングを行い、あらゆる課題に向き合っていった。15名ほどまで増えたメンバーが、それぞれ常に1テーマ以上持って走らせているかたちが出来上がってきた。

「たとえば、全国 600団体ものほどの自治体のデータを抱える『健康カルテ』とのコラボレーションで住民の健康状況ビッグデータから病気の予測ができないか、他にも関東の大学病院と連携した電子カルテの情報分析など、両備システムズグループの十八番の一つでもある医療福祉分野での実証実験がわかりやすいところでしょうか」とA.T.は言う。

Y.K.は、「公共系に強い、両備システムズグループならでは」についても触れる。「総合行政ネットワーク(LGWAN)と、他のクラウドプラットフォームにつないで新しい基盤を作ったりもしています。エス・シー・ラボと組んで、ウイルス検知の前兆を掴む研究もしましたね」。

最後にM.T.が、「他にも、地元岡山にとどまらず全国の大学や、国立研究開発法人産業技術総合研究所からの相談に乗ったり、ともに研究したり、Googleの機械学習/ディープラーニング/多層ニューラルネットワークライブラリ『TensorFlow』や Amazon API/DB をはじめとした各社のツールの活用研究もしています」と、その研究体制を誇る。

データを蓄積し、そこから工夫に転換していくという試行錯誤の日々です

「IoT・AI」での失敗の数はチャレンジの証

ここで、Y.K.とM.T.、それぞれが主導しているプロジェクトについて、紹介しよう。

Y.K.は「『音声をアナログからデジタルに変換する』という基礎すら知らない、まさに右も左も分からないところから始め、次第に音声認識の奥深さに気づいていったことを覚えています。音声分野でも一番ニーズがあるであろう『音声認識からのテキスト化』は避けて通れないので、そこから世の中にある既存サービスを睨みつつ、実証実験を進めました」と切り出す。どんな会社でも必ず役に立つ「議事録の自動化」も、1人1本ずつマイクを立てれば実現できるものの、「会議室に一本マイクを立てるだけ」という現実的な運用では一気に難易度が上がるという。

「そこで『1人1本ずつマイクが立っている』状況である、ヘルプデスク支援に舵を切ることにしたんです。オペレーターが受けた電話の会話から、質問事項を認識し、自然言語処理をした後、CRM と連携して自動でサポートするというものです」と語るY.K.は、現在、得た知見をもとに、公共交通機関の挨拶や会話面でのサービス向上につながる自動モニタリングに活かすなどの段階に進んでいるという。「三歩進んで二歩下がる、そんな歩みですが、一つひとつの研究が糧となっている実感があります」とY.K.は笑う。

「自然言語処理」の中でも、「chatbot」の研究を主導するM.T.も「失敗の数は、チャレンジの証」という言葉を肝に銘じている。現在は、両備システムズグループ内で使う chatbot を開発し、実際に運用しながら実証実験を繰り返している。「単純な質問でも、的確に返答するのは意外に難しいもの。だからこそ、データを蓄積し、そこから工夫に転換していくという試行錯誤の日々です(笑)」と、その苦労とやりがいを語る。

どちらも若いながらも、特定分野に特化した「スペシャリスト」として、諸先輩ともフラットに意見交換しながら、プロジェクトを推進している。

「IoT・AI」は「見える化」がポイント

「『IoT・AI』といっても万能ではない」と言うA.T.は、「できることと、求められていることの違いを痛感することも時々はあります」と、1つのエピソードを語ってくれた。スーパーマーケットチェーンのプロジェクトで、「分析予測」分野にあたるが、会員カードの購買データを元に分析した結果、現場のプロたちも気づけなかった発見があったものの、正式導入には至らなかったというのだ。

「先ほどの一目瞭然の『映像』というバスの例と違い、『データのみ』という、端から見ればなんとなく漠然とした状態では、お客様も導入への決断がしづらいのかもしれない」と、その苦い経験からチームは学んだ。今は「見える化」が不可欠なんだと。

チームに、その「見える化」にうってつけの機会が訪れる。ある自治体から依頼された、「航空写真をもとに AI で地図データと照合して欲しい」というリクエストだ。当初は、家屋が建っているところを調べる話から始まったのだが、屋根の形状は複雑でどうしても精度が出ない。そこで着目したのが、農地区。これまで職員は登記面積と実際の作付面積に相違がないか、現場にわざわざ赴き実地確認していた。それを航空写真と地図データを比較することによって自動的に解析し、その手間を省くというものだ。ここに高いニーズがあった。

「もともと両備システムズが長年培ってきた『GIS(地理情報システム)』のノウハウと組み合わせることによって高い精度が実現できたんです」と、ここでも「両備システムズグループならでは」を発揮し、「100%を求めるのは現実的ではないので、90%くらい。最終的には人間のチェックが多少残っているが、工数の大幅削減が実現できている」と自負する成功事例となった。「見える化」は、また新たな自信をチームにもたらした。

『IoT・AI』は決して特別なものではなく、全技術者の必須科目

「IoT・AI」をすべての人の「あたりまえ」へ

なお、この「IoT・AI事業推進室」のフロアも「IoT・AI」で満ちているのだという。A.T.は「Raspberry Pi を人数分買って、チーム自作の各種センサーが多数稼働している。入館顔認証システムから、会議室使用状況、在席確認、果ては観葉植物まで。まずは自ら『IoT・AI』を実践しないと説得力がないじゃないですか」と笑う。

「そんなチームのカルチャーもあって、和気藹々しています。時々、他部署の人たちが打ち合わせに来た時、『騒がしいチームだな』と言われるくらい(笑)。でも、イノベーションを起こすためには、黙々と机にかじりついてもダメだと思うんですよね」と、Y.K.は「雑談を交えたコミュニケーション」の重要性を謳う。そして、「特に私たち若手の大事な使命として、ここで学んだことを、事業部に還元していくことがあると思っています。『IoT・AI』は決して特別なものではなく、全技術者の必須科目ですから、ゆくゆくはこの組織が存在しなくてもいいくらい(笑)の状態になって、両備システムズグループ全体で取り組める体勢が理想であると考えています」とも語る。

M.T.も「そうですね。至るところで『IoT・AI』が話題に上がる、その注目度の高さの一方で、特別視され過ぎて、どこか隔絶されたイメージを持たれても違うと思うんです。たしかに両備システムズグループの中でもこのフロアは浮いているかもですが(笑)、私たちが技術を社内外に広めていくのはもちろんのこと、他部署の人たちもどんどん遊びに来て、いっしょに可能性を広げていきたいですね」と、オープンな姿勢を示す。

「IoT・AI」において、データは宝だ。その点、両備グループには様々な業種・業態が揃っており、そこから得られるデータの価値は計り知れない。さらに、両備システムズグループにはさまざまなソリューションの知見まで蓄積されているので、何もない0から事業を興こすよりも、資源上でも有利な立ち位置にいるのは間違いない。すべてはちょっとしたアイディアから生まれるイノベーション。そして、この「IoT・AI事業推進室」という場が用意されている。果たしてあなたなら、ここでどんな想いをかたちにしていきたいだろうか。

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