セキュリティ特集

医療DXとは?

「医療DX」は、「医療デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称です。これは、医療分野においてデジタル技術を活用し、患者の医療体験や治療の品質を向上させることを目的としています。具体的には、医療情報のデジタル化、電子カルテの導入、テレメディシン(遠隔医療)、AIや機械学習を用いた診断支援システムなどが含まれます。医療DXの進展により、効率的な医療提供が可能となり、患者のアクセス性や医療の質が向上すると期待されています。

厚生労働省「医療DXの概要」より

医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤(クラウドなど)を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えることです。

世界に先駆けて超高齢社会に直面する中、国民の健康寿命の延伸を図るとともに、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとし、将来世代が安心して暮らしていけるようにしていくことが、今後の我が国の継続的な発展のために不可欠です。

引用「https://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html

繰り返しますが、「医療DX」とは、デジタル技術を活用して医療・介護の質の向上、効率化、患者・利用者の利便性向上を図ることを目的としており、具体的には以下のような取り組みが含まれます。

  1. 電子カルテの普及と標準化

    • 医療機関間での情報共有を容易にするため、電子カルテの標準化と普及が進められています。
  2. オンライン診療

    • 患者が自宅から医師の診察を受けられるようにするため、オンライン診療の制度整備と普及が行われています。
  3. AIの活用

    • 診断補助、画像解析、医薬品開発などでAI技術の導入が進んでいます。これにより診断精度の向上や治療計画の最適化が期待されています。
  4. 患者ポータル

    • 患者自身が自身の健康情報を管理し、医療機関と情報を共有できるようにするための患者ポータルの整備が推進されています。
  5. データ連携基盤の構築

    • 全国的な医療情報のデータベース構築を目指し、データ連携基盤の整備が進められています。これにより、地域を越えた医療情報の共有が可能となります。

これらの取り組みにより、医療の質や効率が向上し、患者の利便性が高まるとともに、医療従事者の負担軽減が図られます。

医療DXに必要なセキュリティ対策

医療DXの推進に伴い、データのセキュリティ対策は極めて重要です。以下は、厚生労働省が提唱する医療DXにおけるセキュリティ対策の主なポイントです。

  1. 情報セキュリティ管理体制の構築

    • 医療機関における情報セキュリティ管理体制を整備し、セキュリティポリシーの策定と実施を推進します。
    • 情報セキュリティ責任者の配置や教育・訓練を実施し、全職員のセキュリティ意識を向上させます。
  2. データ暗号化

    • 患者情報や診療情報の保存・送信時にデータの暗号化を行い、不正アクセスや情報漏洩を防止します。
  3. アクセス制御

    • 医療情報へのアクセス権限を適切に設定し、必要な職員のみが必要な情報にアクセスできるようにします。
    • 多要素認証(MFA)の導入を進め、不正アクセスのリスクを低減します。
  4. セキュリティ監査

    • 定期的なセキュリティ監査を実施し、システムの脆弱性をチェックし、対策を講じます。
    • 第三者機関による評価を受けることで、客観的なセキュリティ評価を行います。
  5. バックアップと災害対策

    • 定期的なデータバックアップを実施し、データの消失や破損に備えます。
    • 災害時の業務継続計画(BCP)を策定し、迅速な復旧を図ります。
  6. セキュリティインシデント対応

    • セキュリティインシデント発生時の対応手順を整備し、迅速な対応を可能にします。
    • インシデント発生後の原因分析と再発防止策を徹底します。
  7. クラウドサービスのセキュリティ

    • クラウドサービスを利用する場合は、信頼性の高いプロバイダーを選定し、契約時にセキュリティ要件を明確にします。
    • クラウド環境におけるデータの保護とプライバシー管理を徹底します。
  8. 法令遵守

    • 個人情報保護法や医療情報システムの安全管理ガイドラインなど、関連法令やガイドラインを遵守します。

これらの対策を講じることで、医療DXの推進に伴うセキュリティリスクを低減し、安全かつ信頼性の高い医療サービスの提供を目指します。

当社セキュリティアナリストの分析

医療機関が医療DXを推進する際、最初のサイバーセキュリティ対策として、セキュリティアセスメントを行うことを推奨します。セキュリティアセスメントによるセキュリティ診断を実施することで、組織のセキュリティ体制の現状を把握し、改善点を特定することが可能となります。

セキュリティアセスメントの実施には、外部のサイバーセキュリティ対策の専門家に依頼することも可能です。これらの専門家は、厚生労働省『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』にも対応し、医療機関の規模に応じたサービスラインナップなども用意されています。

以下に、セキュリティアセスメントの重要性、その理由と具体的なプロセスを記します。

セキュリティアセスメントの重要性

  1. 現状の把握

    • セキュリティアセスメントを通じて、現在のセキュリティ体制や対策の強化ポイントを明確にします。これにより、脆弱性やリスクを具体的に把握できます。
  2. リスク評価

    • 各種リスクを評価し、その影響度と発生可能性を分析します。これにより、優先的に対策を講じるべきリスクを特定できます。
  3. 適切な対策の導入

    • アセスメント結果に基づき、適切なセキュリティ対策を計画・実施するための基盤を整えます。これにより、効果的かつ効率的なセキュリティ強化が可能になります。
  4. コンプライアンス

    • 法規制やガイドラインに基づくセキュリティ要件を確認し、遵守状況をチェックします。これにより、法的なリスクを回避できます。

Ryobi-MediSec(リョウビ-メディセック)は、医療機関特有のセキュリティリスクへ対応するため、弊社のこれまでの経験・知見を取り入れた、医療機関向けのセキュリティサービスパッケージとなります。
当社のサイバーセキュリティチームによりセキュリティサービスを提供いたします。
厚生労働省『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』に対応し、医療機関の規模に応じたサービスラインナップを用意しています。

医療機関向けセキュリティサービス『Ryobi-MediSec

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