あれよあれよと、3年も留年。
村にはもう、寝太郎を相手にする者はおりませんでした。
「どれ。そろそろエントリーでも」
そう思ってあちこちの戸を叩くのですが、反応は常にサイレント。
「けっ。冷たいやつらめ」
いろんなことを棚に上げた寝太郎は、部屋にこもってスマホいじり。けれど、つい就活掲示板に入り浸っては、みんなの内定報告を高速でリロードし、ますます不機嫌になる始末。そんなある日のこと。訪ねてきたのは、隣村の村長ご一行です。
「神さまがおいでなのは、こちらですか」
「神さま?」
「はい。寝太郎どのは、村中からお祈りされる存在と聞きました。それってもう、神なのかなと」
心の底では「何言ってんだコイツ」と思ったものの、神と奉られて悪い気はしません。