「どうしても、インターンシップに参加したいのです。都に行かせてください」
学生は、父に頼み込みました。
「都までは命がけ。なぜ、そこまでして参加したいのだ」
「はい。CMで知ってる企業だからです」
「待て待て。その程度の志望動機か。ちっちゃすぎないか」
「しかし父上。私は社会経験といえばバイトくらいの、この国の典型的な学生です。壮大な志望動機など、いまの段階では持ちようがないではありませんか」
「決意は固いのだな」
そのまっすぐな瞳に気圧されたのか、父は学生に黒い服と靴、Google Map™を与え、とうとう都行きを許しました。
都への道のりは乗り換えと地下迷宮にあふれた危険なものでしたが、特に何事もなく、学生はインターンシップ会場にたどりつきました。