プロジェクトの流れSMART CITY PROJECT
スマートシティプロジェクトを題材に、
両備システムズの仕事の基本的な流れを紹介します
2015年入社
営業
Y.S.
2010年入社
SE
M.F.
2015年入社
営業
M.T.
「2016ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに「保育園落ちたの私だ」がランクインしたのは記憶に新しい。日本が抱える「少子化」、そして、「女性の活躍」という社会的課題を解決するために欠かせない「保育園」。
同じく2016年、岡山市の待機児童の公表数が595人増えて729人と、前年比5倍以上になったことも話題となった。これは全国で東京都世田谷区に次ぐワースト2位。
しかし、日本はもちろん地元岡山にも根付く、「保育園」という巨大な問題への一手となり得るソリューションが、両備システムズグループにはあるのだ。
保育園向けソリューションを主導するY.S.は、3人の子どもの母親であり、10年以上保育園にお世話になった経験からも、「保育園問題解決のキーとなるのは、間違いなく保育士さん。」だと断言する。「岡山市は『待機児童』のカウントの仕方を厳密にしたことで問題を浮き彫りにして、対峙する決意を見せたとも言えると思っています。」と語り、保育士さんをICTの力で支援する意義を唱える。
そんな登園・降園受付管理、保育料精算、指導計画をはじめとした、「保育士さんの事務作業を効率化」する保育園向けソリューションの歴史は、2008年にさかのぼる。当時スクラッチで開発した私立保育園向けのシステムをパッケージ化・横展開していくという、「両備の両輪」モデルだ。
「当時は、保育園を対象としたICT化は新しく、ブルーオーシャンと言える領域。かつ、公共性も高く、私たち両備システムズグループが挑戦すべきフィールドとしてふさわしかった。」と振り返る。このパッケージは、「PIPIO」と名付けられ、すでに10年以上の歴史を誇る。
入社以来「PIPIO」の営業に携わってきたM.Y.は、「保育園を訪問するたびに感じていたのが、保育士さんって書き物の負担がすごく多いということ。本当は園児や保護者とのコミュニケーションに時間を割きたいのに、書き物に時間を奪われてそれができないジレンマがあるわけです。そして、それが離職の原因にもなっているんです。」と現場の問題を語る。同じ女性として、「たとえ将来保育園に預ける状況になったとしても、こういう状況で預けるのは心配……。」と、未来の母親たちの不安にもM.Y.は理解を示す。
「保育士不足の一因は、資格保持者が復帰しないことにもある」。「辞めたいと思わない」、そして、「また職場に戻りたい」と思わせる環境作りに貢献する ICT。それがソリューションの肝となる、Y.S.は決意を新たにしたという。
人間誰しも変わることを恐れるもの。それは保育士さんといえども例外ではない。保育園 ICT化の壁はまさにそこだった。ただでさえ忙しい保育士さんに、一時的にでも負担を強いてしまうわけだ。
入社以来、ポイントカードのシステムや「スマート・ジェイワン」プロジェクト、金融系システムの開発に携わってきたM.F.は、「『PIPIO』の名の通り、『ピッ』とタッチする、操作がかんたんなシステムであることに強くこだわっているのは、保育士さんや保護者をはじめとする、みんなの精神的なハードルを乗り越えられるように、という想いからなんです。」と語る。
「そこでUI/UX(※1)面では、徹底的にかんたんさ、親しみやすさ、そして操作完了までのスピードにこだわっています。」とM.F.が言うように、園児の登園・降園時の処理は一人あたりたったの5秒で済むほどだという。
※1
UI: ユーザがコンピュータシステムを操作するうえで触れる画面のデザインや操作性のこと
UX: ユーザが、UIを介してコンピュータシステムから得られる感覚的・感情的な体験のこと。
保育園から保護者への「情報発信や行事や物品の予約・申し込みといった機能も同じくタッチパネルでかんたん操作ができますし、それらの集計から指導計画作成といった保育士さん向け管理業務も、先程の精神的なハードルをしっかりと見据えたものになっているはず。そこが営業的な差別化ポイントになっています。これで『ゆとり』が生まれますよ!って。」と、M.Y.は自身の営業スタイルを明かす。「保育園を増やすためにはICT が必要。だからこそ、この ICT への抵抗感を和らげるために、システムのプロである SIer としての立場だけではない、保育士さん目線での説明が大切なんです」。
Y.S.は「おかげさまでPIPIOはすでに全国130園を越える保育園に導入いただいておりますが、まだまだ行き渡っているとは言えない状況。決済方法としての電子マネーの追加や、保護者専用サイトの充実などでよりいっそう利便性を高めています。使命感を持って、広めていきたいです。」と、ここまでのプロジェクトの成果をまとめたうえで、2017年より次なるチャレンジに踏み出した。
次なるチャレンジとは、公立保育園向けのソリューション「HOICT」。「これまでPIPIOで対応してきた私立保育園向けと公立向けとで、大きく業務が違うわけではありません。異なるのは、公立保育園は自治体の予算で動くということ。つまり、自治体向けの機能が求められるとともに、営業の仕方も変わってくるのです。」とM.Y.は語る。
ここで、両備システムズグループのシナジーが生きてくる。まずは、公共ソリューションの営業チャネルを活用できること。つづいて、「LGWAN(総合行政ネットワーク)」という自治体間専用のセキュアなネットワーク上にも構築できる、国内オンリーワンのノウハウを持っていること。さらに、そのLGWANへの接続を認可されている自社のデータセンターを持ち、信頼おけるデータ管理ができることだ。
M.F.は「自治体ならではの要望にフレキシブルかつスピーディーに応えるため、ウォーターフォール(※2)ではなく、アジャイル(※3)で開発している。」と、新たなチャレンジに意欲を見せる。そんなM.F.を筆頭に8~9人のチームで完成させたβ版は好評だ。
※2 ウォーターフォール: 滝が上から下へと流れ落ちるように、時間軸に沿って「要求」→「設計」→「実装」→「テスト」といったような後戻りしない工程に分割し、段階的かつ着実に品質を確認しながら完成させる手法
※3 アジャイル: 「要求は変化するものであらかじめ決定できない」という前提で、開発工程を1週間から数週間単位で区切り、優先度が高い順に実際に動くソフトウェアを実装し、反復的に完成させる手法
そして、「自治体と保育園では、営業的に響く箇所が変わってくる。」と、M.Y.は新たな営業手法を模索しているというが、公共ソリューション以外にも、すでに代理店開拓が進んでいるという。「自ら市場開拓しつつ、連携モデルを構築し、横展開していく。」というスキームが生まれつつあるのだ。M.Y.は「一つひとつの保育園を回って現場の保育士さんと話すのもすごく意味があることですが、一方で行政の方とともに大きく業界を動かす、そういうムーブメントに関われているやりがいを実感している。」と語る。
Y.S.は自分の仕事を「あればいいのに足りていないこと、できるけどやっていないことを探して埋めること。」と称する。HOICT はまさにその象徴で、Y.S.は「企画開発」という立場で、時にはプロデューサーとして売り方を考え、時にはUI/UXからロゴまで指揮するなど、「私たちのソリューションはこっちに向かうんだ!」という強い意志で、プロジェクトの舵取りを行っている。そこには、「私のような女性が、こうして3人の子どもを育てながらいつまでもチャレンジできるのは、環境が整うのはもちろんですが、待ちの姿勢ではなく、自分で仕事を見つける姿勢も欠かせないと思うんです。」という、背中で語る想いが詰まっている。
岡山発、日本へ。そんなソリューションが、女性たちの手によって成し遂げられていく。そのムーブメントはより大きな課題を解決していくに違いない。